八ヶ岳・三叉峰ウォーキング(最終回)

ハイマツ帯(約2,700m)~三叉峰(2,825m)~海ノ口自然郷・横岳登山口(1,754m)

 まだ三叉峰頂上までの急登が残っているので、昼食はお握り一つと、お菓子類で簡単に済ませた。南方向を望むと残雪の尾根とガスに包まれた赤岳と思われる頂が聳えていた。
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【ハイマツ帯 13:50発】
 山頂からは登山者が続々と降りてきた。我々はスタートが遅かった上、残雪に時間を取られて山頂到着が遅くなっていた。帰りも同じ所を通るし身軽にする為、リュックをハイマツ帯の縁に置いて行くことにした。
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 登山道脇にイワカガミが咲いていた。高山で株も葉も小さかったが、こげ茶色の丸い葉で鋸歯もあるのでイワカガミに間違いない。頭に何も付かないイワカガミの花は初めて見たことになる。
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<イワカガミ(岩鏡)>
  イワウメ科、イワカガミ属
  名前の由来:葉は光沢があり岩場に生える
<特徴>
  多年草、高山の岩場や急傾斜地に生える
  開花期は海抜により異なり4月~7月に咲く
  花は淡紅色からほぼ白色のものまで変異がある
  花径1~1.5cm、花冠の先端は多数に分かれる
  雄しべは5本で中心部に1本の赤紅色の柱頭がある  

 続けて、岩場に咲くイワウメ(岩梅)が咲いていた。イワウメはイワカガミやイワウチワと同じイワウメ科に属する花で、小さな5枚の白い花弁を思い切り開き、黄色の雄シベが目立って綺麗だ。
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 イワウメは草本ではなく常緑の低木で、岩場に低く這って葉を密集させている。赤い花茎が密集した葉の間から、するっと伸びて花を付けている姿はイワカガミやイワウチワにも似ていて美しい。
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 イワウメには一昨年、岩木山の岩肌に咲いている姿を遠くから見ていたが、今回初めて間近で見ることが出来た。

<イワウメ(岩梅)>
  イワウメ科、イワウメ属
<特徴>
   常緑低木、高山の岩礫地や岩場に生える
  6~7月に咲く、花の色は白
  1~2cmの柄を出して先に花を1個ずつ付ける
  枝は短く這って叢生し密に葉をつける
  葉は卵状で厚く6~15mmで光沢がある

 ハイマツの間に薄い黄色のシャクナゲが咲いていた。キバナシャクナゲ(黄花石楠花)だ。
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<キバナシャクナゲ(黄花石楠花)>
  ツツジ科、シャクナゲ属
<特徴>
  常緑小低木、2,500m以上の高山帯に生える
  地面を這うように枝を伸ばす
  花の色は薄い黄色でハイマツに混じって自生したり、まれに群落を形成する

【三叉峰 14:05着】
 やっと、三叉峰(標高 2,825m)に到着した。残念ながら尾根はガスに包まれていて眺望は得られなかった。
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 急登でも見たキバナシャクナゲがハイマツの間に綺麗に咲いていた。
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 この日の最大の目的のツクモグサを探したが見つからない。山頂の岩場は色々の花が咲いているお花畑だった。先ずはそれらを撮影した。

オヤマノエンドウ(御山の豌豆)
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<オヤマノエンドウ(御山の豌豆)>
  マメ科、オヤマノエンドウ属
<特徴>
  小低木、高山の礫地や乾いた草地に生える
  茎は株状になり、葉は奇数羽状複葉
  小葉は9~15個、狭卵形で長さ5~10mm、幅2~4mm
  6~8月、花は茎頂に2個付く
  花弁は蝶形で青紫色か紅紫色、長さ17~20mm

チシマアマナ(千島甘菜)
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<チシマアマナ(千島甘菜)>
  ユリ科、チシマアマナ属
<特徴>
  多年草、高山帯の草地や岩地に生える
  花は6~8月に咲く、茎頂に1個やや横向きに咲く
  花被片は白色、狭い長楕円形、基部に黄赤色の腺体がある
  茎には2~4個の葉が互生する
  草丈7~15cm

ミヤマキンバイ(深山金梅)
 ミヤマキンバイには岩木山のガレ場でも出合っている。
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<ミヤマキンバイ(深山金梅)>
  バラ科、キジムシロ属
<特徴>
  多年草、亜高山帯~高山帯の砂礫地、草地に生育する高山植物
  花期は7~8月、黄色い直径2cmほどの5弁花を咲かせる
  草丈10~20cm

ウラシマツツジ(裏縞躑躅)
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<ウラシマツツジ(裏縞躑躅)>
  ツツジ科、ウラシマツツジ属
<特徴>
  落葉小低木、高山帯の草地や岩礫地に生える
  花は6月下旬~7月中旬に咲く、
  壺形の花で、色はクリーム色、長さ6~8mm
  葉は広いヘラ形で先は丸く、長さ1.5~2.5cm、厚みがある
  秋早くから紅葉が始まり、周りを見事に染める


 撮影の合間にもツクモグサを探したが見つからない。赤岳の方から来た登山者にツクモグサが咲いていたか問い合わせたら、15分程赤岳方向に行った所に生えていたが、未だ蕾だったとの返事が帰ってきた。
【三叉峰 14:30発】
 ガスも出ていて岩場の道を間違える可能性もあるし、下りの雪斜面を考えるとあまりのんびりしていられないと判断し、今回はツクモグサの観賞は諦めて下山する事とした。

 残雪の斜面を慎重に下って、そこを過ぎた所で超遅い昼食を食べた。

【海ノ口自然郷・横岳登山口 18:15着】
 同じ道をひたすら歩いたが、海ノ口自然郷・横岳登山口に着いたのは午後6時を越えていた。夏至間近なので明るかったが、駐車場に10台ほど有った車は我々の車だけになっていた。
 今回見ることが出来なかったツクモグサ(キンポウゲ科)は八ヶ岳と白馬岳でしか見れないと言う。オキナグサに似たその美しい姿はPhoto Galleryさんの所で見て頂くこととして、何時か別の機会に再チャレンジする事とする。

 都合により暫くブログを休みます。

この記事へのコメント

2010年06月30日 09:09
ツクモグサは蕾で残念でしたが他に珍しい山野草が勢揃いで楽しい山行でしたね。雪が多いのには驚きました。まだまだここは春先ですね。これから短い夏に向けて一気に色んな花が咲くのでしょう。
寅太
2010年06月30日 10:42
残雪に高山帯の植物がたくさん見られますね。
オヤマノエンドウ、チシマアマナ、ウラシマツツジなどは初めて見る植物です。
2010年06月30日 10:46
お天気や残雪などの関係もあってツクモグサを断念されたのは残念だったと思いますけれど、他の多くの綺麗な花に出合えて素晴らしい山行だったですね。
2010年06月30日 16:15
デコウォーカさん、こんにちは
今回も、沢山の珍しい高山植物に出合えましたね。
生で見ると、感動するでしょうね。
「ウラシマツツジ」
ちょっと、ドウダンツツジの花形に似ていますね。
>キバナシャクナゲがハイマツの間に綺麗に咲いていた。
ここの景色、壮観ですね~。
高山植物の草丈は、風や寒さを凌ぐため低いのですね?
どれも、可愛らしい小さなお花をつけていますね。
hanatetsu
2010年06月30日 19:48
冒頭の赤岳の画像は凄い!!!
イワカガミ、イワウメ、オヤマエンドウの画像も素晴らしいですが、チシマアマナにはうっとりしています。
もちろん初見でーす。
2010年07月04日 17:52
信徳さん、今晩は。
流石に八ヶ岳で珍しい草花に沢山出合えて良かったです。しかし、最大の目的のツクボグサに逢えなかったのは最大の悔しさでもありました。来年以降に再チャレンジです。八ヶ岳の山頂付近はやっと雪が融けて春先の状態ですね。これから高山植物が一斉に咲いて見事なお花畑になるのでしょう。
2010年07月04日 17:54
寅太さん、今晩は。
八ヶ岳の山頂は雪が融けて春先になり、高山植物が一斉に咲き始めていました。どれも珍しい花々でした。
2010年07月04日 17:57
OSAMIさん、今晩は。
そうですね、今回の最大の目的だったツクモグサに出合えなかったことは残念でした。しかし、初めて見る草花に出合えて良かったです。ツクモグサは来年以降に再チャレンジです。
2010年07月04日 18:01
kirariさん、今晩は。
ツクモグサには逢えませんでしたが、今回も沢山の高山植物に出会えました。特にイワウメに間近で見れて嬉しかったです。今回の山頂でのお花畑はキバナシャクナゲが一番目だって綺麗でした。
2010年07月04日 18:05
hanatetsuさん、今晩は。
雪を残した3千メートル級の山頂はガスが掛かると厳しい姿に急変します。風がそれ程では無かったので良かったです。今回も珍しい高山植物に多く逢えました。特にイワウメに出会えたのが嬉しかったです。